タミフルと異常行動
「タミフル」 と 異常行動 大阪におけるインフルエンザの1定点あたり報告数は、第9週が27.0、第10週には26.1に一旦下降し、翌11週には再び27.9と今季最高レベルまで達しました。 南河内では53.0と今季最高の報告数を記録するなど、第11週の数字としては異例ずくめの流行状況が続いています。 桜のつぼみも膨らんできたというのに、流行の鎮まりはまだ見えてはきません。 インフルエンザは、流行のピークを迎えたら一気に減少に転じるというのが普通で、今季のようなダブルピークの流行パターンは余り経験したことがありません。 この異常ともいえる流行状況は、異常気象の影響なのか、それとも新型インフルエンザ登場の前ぶれなのか、気になるところです。 流行状況や高病原性鳥インフルエンザはともかくとして、今季ほどインフルエンザが話題になる年も珍しいでしょう。治療薬「タミフル」をめぐり、服用者の一部にみられる異常行動との関連性が問題になっているからです。 タミフル(一般名 リン酸オセルタミビル)を飲んだ子どもがマンションから飛び降りたり、トラックに飛び込んで死亡するケースが問題となり、厚生労働省の研究班で調査が進められてきました。 医薬品医療機器総合機構で集計された約1,800例の事故報告の中に、転落事例の10代患者が16人いることも判明しています。 約2,800人の患者を対象にした疫学調査の結果などを基にして、昨年10月に研究班から「異常行動との関連は確認できなかったが、さらなる調査が必要」との報告書が出されており、新たに1万人を対象とする調査も進められています。 研究班の下した因果関係についての結論には批判も多く、調査対象者のサンプリングに問題があることや、「インフルエンザ発症1日目の昼」において、タミフル服用者は未使用患者に比べ、異常行動の発現率が統計学的にみて高いという説もあり(3月22日、産経新聞)、タミフルの服用期間や服用後の分析期間の問題など残された検討課題も少なくはないようです。 昨年11月、米食品医薬品局(FDA)は、「タミフルと異常行動の因果関係は立証されていない」としながらも、「服用と異常行動との関係を否定できない」との判断から、製薬会社に「注意喚起の表示」を求めたことを発表しています。 FDAなどによると、05年8月から06年7月までに報告された異常行動は3件の死亡例を含む103件で、このうち95件が日本からの報告で、3分の2は17歳未満の症例であったということです。 一方、製造元のロッシュ社は、「異常行動が起こる割合は3万7千人に1人、死亡例は5百万人に1人と極めて稀なケース」として、「タミフルと異常行動との因果関係は証明できない」との声明を発表しています。 平成16年以降に転落事故が15件起きていた事実や、さらに3月20日には2階から転落して骨折という10代の2症例が報告されたこと等から、厚生労働省は「死亡には至らなかったケースの把握や分析が不十分」として判断の見直しと徹底調査を表明し、21日未明、「10代への処方を原則中止し、添付文書を改訂する」よう輸入販売元の中外製薬に要請して、「関連性は否定的」 という従来の見解を事実上白紙撤回したのです。 これを受けて、中外製薬は「タミフル服用後の異常行動について」と題する「緊急安全情報」を発表し、タミフルの服用を開始する場合、      異常行動の発現のおそれがあること      自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないように配慮すること      インフルエンザ脳症などによっても、同様の症状が現れる可能性があること 等について、医師は患者・家族に対して説明を行うよう要請しています。 危険性のある薬なら飲まないでおくというのが正論と言えましょうが、それほど話が簡単ではないのがタミフルの問題です。 タミフルが効かない耐性ウイルスの出現や増加も解決すべき課題でしょうが、現在、新型インフルエンザに有効な薬剤は限られており、特に乳幼児に使用できる抗インフルエンザ剤は「タミフル」だけといってもいいでしょう。 スイス・ロッシュ社で製造されるタミフルは、世界の7〜8割を日本だけで消費しており、使いすぎの批判も少なくない薬なのです。しかし、薬剤費がネックとなって使用にブレーキがかかる諸外国とは異なって、誰でもこの薬の恩恵に浴せるわが国の国民皆保険制度の評価も忘れてはならないでしょう。 発売後6年間で延べ約3,500万人分が販売(処方数は05年までに2,450万回)されていますが、指示どおり5日間連用する例ばかりではない点を考えると、恐らく4千万人以上の人が内服したものと推定されます。 このうち54人が服用後
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