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もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

松井冬子と上野千鶴子[=>]

あんまりだからメモだけしておく。
ほかでもない、NHK ETV特集"醜いもの 美しいこと〜日本画家 松井冬子の試み〜"のことだ。おくればせながら、YouTubeで見たが、予想以上に酷いできだ。いったいNHKのディレクターはどうしたというのだ。自暴自棄になったのか。

対談相手は上野千鶴子氏(東京大学大学院社会学部教授)、山下裕二氏(明治学院大学文学部教授)、布施英利氏(東京芸術大学准教授)で、三人とも、松井芸術の神髄を聞き出そうとするのだが、そのとってつけたような質問と、とんちんかんな応答で、お気の毒に三人はバカ丸出し状態だ。

圧巻は上野千鶴子氏との対談だろう。なんでこんな人選をしたのか不明だが、たぶんジェンダー理論でマッチョたちをバッサバッサ斬ってもらうためだろう。ジェンダー理論というのは文化相対主義のヴァリエーションで、それを絵画や映像に応用したのが表象文化論だ。簡単に言えば深読みして、何でもかんでも性差別に結びつけるというのだから、屁理屈とレトリックのさえが大切だ。でも、上野先生、ぜんぜんさえていない。

オーディヤンス、オーディヤンスというのでなんか関西弁でいってるのかと思ったら、どうもaudienceのことらしい(たんなる推測)。もっとほかのフランス直輸入のキーワードをちりばめた方がいいのに、これじゃ松井冬子のナルシシズムと似たようなものだ。それより、ジェンダーと言ったあとに、脱ジェンダーと言ってみたり、いったいどっちなんだといいたいが、たぶん文化相対主義だから、どっちでもかまわないのだろう。

松井氏の美貌にたいして上野氏の知性と言いたいのだろうが、そうは問屋がおろさない。二人の知性は似たり寄ったり、スピーカーのそばにマイクロフォンを置いたように、お互いの**が増幅して困った事態に陥ってる。いつのまにか上野氏はカウンセラーになって、自分の理論どおりに松井氏に答えさせようと、「その答えじゃ満足できない」と言い出す始末。上野氏はメモをみながら質問しているのだから、あらかじめ打ち合わせをしているはずだが、松井氏そんなことはすっかり忘れている風で、上野氏の質問が理解できないのか意味不明の答、二人の会話はいっこうにかみ合わない。上野氏も臨機応変に質問すればいいのだが、ジェンダー理論は敵をののしるには便利でも、味方を理解するのは不得意のようだ。

とにかく上野氏の出した診断は「自傷系アート」だ。近頃のアートにはそういうジャンルがあるらしい。この言葉を聞いて、『GOTH-ゴス-』(横浜美術館)展で見たピュ〜ぴるの作品を思い出した。これは性同一性障害者のピュ〜ぴるのSRS手術や自傷行為風の変装化粧などを写した写真作品で、自分のアイデンティティを回復する物語なのだろうが、同じ意味で、松井氏の内臓絵画にも自傷的なナルシズムの側面があるのだろう。

そう思うのは、記事にコメントをくれた人のなかに、松井氏の絵を見て癒されたという女性が多くいたからだ。たぶんある種の人々にとって、松井氏の絵は「癒し系」なのだ。クリスチャン・ラッセンのイルカの絵を見て癒される人がいるように、松井氏の内臓むき出しの自傷系アートを見て癒される人もいる。そういう目的で絵を見るひともいるだろうが、私には気持ち悪いだけだ。

自傷系が癒し系の変種であることは、手近の精神分析の本をよんでください。
それから、語りの吉行和子(女優)の声は岸田今日子の声みたいでやりすぎではないか。

『松井冬子の自画像』へ[=>]
2008.04.28[Mon] Post 18:40[=>]
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そう思うのは、記事にコメントをくれた人のなかに、松井氏の絵を見て癒されたという女性が多くいたからだ。たぶんある種の人々にとって、松井氏の絵は「癒し系」なのだ 2008.05.01[Thu]  投稿者:winsock[=>]
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別に美術はシロートなんですが
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